デューディリジェンス報告書
2024年1月
三井金属鉱業株式会社
薄膜材料事業部
企画部
1.企業情報
三井金属鉱業株式会社は高純度錫及び酸化錫を製造する精錬業者であり、当該製品の製造拠点所在地は広島県竹原市塩町1-5-1です。尚、当該報告書の対象期間は2023年1月1日から2023年12月31日です。
2.RMAP(Responsible Mineral Assurance Program)評価サマリー
2024年2月8、9日にRMAPの適合可否を判断する第三者監査が実施される予定で、当該監査による評価期間は2023年1月1日から2023年12月31日となります。監査の結果は下記リンクにて公開予定です。
(https://pvd.mitsui-kinzoku.com/corporate/)
3.サプライチェーンに関する企業方針
三井金属グループは、責任ある鉱物調達を推進しています。鉱物サプライチェーンに位置する企業として、鉱物調達に関連するサプライチェーンのリスクが、グループの事業に影響を及ぼす可能性があると認識しています。責任ある鉱物調達への国際的な関心の高まりから、対象となるリスク項目、リスク地域および鉱物が広がっています。三井金属グループでは、責任ある鉱物調達に関する包括的な方針を制定しました。2021年2月にはEU規則施行を機に改定をしており、鉱物サプライチェーンにおける取組みを引き続き進めていきます。
三井金属グループは、鉱物調達において、適用される法規制を遵守し、RMI*1、LBMA*2、LME*3といった国際的イニシアティブの基準やガイダンスに沿って、鉱物サプライチェーンに係る企業の社会的責任を果たします。
三井金属グループでは、紛争地域および高リスク地域(CAHRAs*4)を原産地とする、対象となる鉱物について、OECD(経済協力開発機構)の「紛争地域及び高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデューディリジェンス・ガイダンス」附属書II第1項から第14項に記載されている不正に関わる鉱物を原材料として使用しない方針です。また、人権・労働、安全衛生、環境、倫理に関する取組みを推進し、鉱物サプライチェーンのサステナビリティに取り組みます。
なお、当社グループは以下のカテゴリの通りCAHRAsを特定します。
- 欧州委員会が公開している、REGULATION(EU)2017/821に基づくCAHRAsリストに記載された国・地域
- 米国ドット・フランク法1502条で定められた、コンゴ民主共和国(DRC)および隣接9か国
- 当社グループが国際的なイニシアティブ等を参照して特定する、上記以外の国・地域
また、対象となる鉱物として、錫、タンタル、タングステン、コバルト、金、銀、亜鉛、鉛、銅を特定しています。これらは、国際的なイニシアティブの要請に沿って適宜見直しを図ります。
当社グループは、国際的なイニシアティブの基準やガイダンスに沿って、サプライチェーンに対し適切にデュー・ディリジェンスを実施し、お客様をはじめとするステークホルダーの要請に応じ、情報を開示します。
*1 Responsible Minerals Initiative(2017年10月にConflict Free Sourcing Initiative “CFSI”から改称)
*2 London Bullion Market Association(ロンドン貴金属市場協会)
*3 London Metal Exchange(ロンドン金属取引所)
*4 Conflict Affected High-Risk Areas
(当社HP: https://www.mitsui-kinzoku.com/csr/society/supplychain/)
4.企業管理システム
当社グループでは、調達担当役員をサプライチェーン最高責任者として任命し、サプライチェーンマネジメント体制を構築しています。当社グループは、サプライチェーン最高責任者を委員長とするサプライチェーン委員会を組織し、委員会には各事業部門から選出された委員が参画しています。サプライチェーン委員会では、責任ある鉱物調達を含むグループのサプライチェーンの取組みを統括して管理しています。また、サプライチェーン委員会の下に、当事業部が所属する機能材料事業本部のCSR調達推進委員会が設置されており、当企画部も委員会に在籍しています。企画部長は、錫の製錬拠点である竹原薄膜材料工場を含む、当事業部スパッタリングターゲット事業の責任ある鉱物調達のためサプライチェーンにおけるリスクの特定、評価、管理のためのシステム構築に責任を持ち、サプライヤーの状況や取り巻く環境に応じたマネジメント体制を構築しています。竹原薄膜材料工場とも緊密に連携し、強固なマネジメント体制を維持し、サプライチェーン管理を実行しています。尚、社外ステークスホルダーからの問い合わせや苦情は公式ウェブサイト上に窓口を設け、随時受け付ける体制を整えています。
「Environmental and Social Risks Consultation Desk」
https://www.mitsui-kinzoku.com/en/contact/
当企画部ではデュー・ディリジェンス活動を実施するにあたり、サプライヤーと接する当該要員が講習会に年に1回以上参加しており、デュー・ディリジェンス精度の向上に努めています。当社における毎年のデュー・ディリジェンス活動内容については、当社HPに掲載されている「統合報告書」でも閲覧頂けます。
5.原料管理システム
原料のサプライチェーン管理システムについては、OECDやRMIといった国際的に認知されたガイダンスやイニシアティブの基準に沿って適切にデュー・ディリジェンスを実施しています。原料の原産地を管理するプロセスにおいて、売買契約書締結前に原産国証明書等の書類提出可否を確認し、サプライチェーンのTraceabilityが十分に確保できているかを判断します。万が一、サプライヤーの管理方法と当社の管理方法に乖離がある場合には、対話による意見交換を重視し、最終的には実用的且つ持続可能な条件にて双方合意するよう取り組みます。一方で、サプライヤーから要望や苦情があった場合には、通報内容を精査し、必要に応じて当社法務部等の専門的な見解をもとに真摯に対応します。
6.記録保管システム
管理システムに関連する記録につき、5年以上の保管を手順書に定め、セキュリティで保護されている社内データベースにて保管しています。
7.リスクの特定・評価・軽減
当社ではCAHRAsを特定するにあたり、手順書を定め、情報量が豊富で定期的な更新頻度のある以下リソースを判断指標として活用しました。尚、リソースは更新時の最新版を参照するよう定めています。
- Global Crisis Severity Index
-
Heidelberg Conflict Barometer
-
Corruption Perceptions Index
当社の手順として、上記のリソースにある国、地域別の評価結果を、CAHRAs特定のために、OECDやRMIのガイダンスを参照の上、社内で設定した基準値と照らし合わせ、一次的な評価を実施します。二次評価として、サプライヤーとの過去の実績やTraceabilityの整備状況、EITI*5基準のサポート状況などを調査し(KYC=Know Your Counterparty)、レッドフラグ有無を含めたリスク分析を行います。二次評価を経て調達可否を確認し、必要に応じて追加のデュー・ディリジェンスを実施します。今般のリスク分析および評価結果、問題ないと判断しました。
*5 EITI=Extractive Industries Transparency Initiative(=採取産業透明性イニシアティブ)